白と紺のストライプのテント・・・といえば、ドラリオン東京公演が開催されるビッグトップの公演用のテントですネ。
新ビッグトップは世界中に点在するシルク・ドゥ・ソレイユの公演用テントのなかでも世界で一番進化したモノなのです。その理由は世界的に見ると特異な日本の気候にあります。強風、台風、地震などさまざまな自然現象が頻繁に起こり、はっきりとした春夏秋冬の四季があることは、テントにとってとても過酷な環境なのです。海外で使われている三角形のクラシックなテントだと、日本では倒れてしまう恐れがあるのだとか。風や雨の抵抗を和らげるため、テントの形がなめらかな円錐に。また簡単に倒れないよう、より大きく、より高い建物になりました。また柱ではなく建物全体で震動を吸収する構造に。そのため、ステージの一部が柱などで見えない「見切り席」もなくなりました。
その分、手間もかかります。約21,656本のボルトを使い、総重量は122トンにも及びます。設営に海外のビッグトップでは1週間ですみますが、日本の新ビッグトップはその倍の2週間もかかるのだそうです。
ドラリオンのトリビアを見ると、面白いことがたくさん書いてありますね。
■出演者のマスクなどの道具はどうしてる?
ドラリオン出演者のマスクやかつら、帽子などは、その人にピッタリ合うように顔型を取って作ります。
出演者は全員、カナダのモントリオールにある本社へ行って、ひとりひとり顔型を作ります。
そしてその顔型を元にマスクなどの道具を作るのだそうです。
ということは、そのマスクは世界にひとつだけってことですね。
取った顔型はすべてモントリオールの本社に保管されているそうです。
1500以上あるらしいですが、もし飾ってあるとしたらちょっと怖い気もしますよね。
■ドラリオン的メイクは誰がする?
ドラリオンの出演者は皆さん派手で奇抜なメイクをしていますが、あのメイクは実は自分でしているのです。
歌舞伎役者とかも自分でするらしいですが、あれほど凝ったメイクですから、出演者によってはメイクだけで1時間以上もかかったりするとのこと。
ただ、最初はさすがにプロの方がメイクを考えてくれて、メイキャップもしてくれます。2度目からはそれを覚えて自分でしなければいけません。
ドラリオンの出演者は、メイクも上手でなければいけないのですね。
ドラリオンの観客席を盛り上げるのは、クラウンと呼ばれる出演者達ですね。
クラウンとは、例えばサーカスなどの舞台の合間合間にコントなどでつなぎをする盛り上げ役のことです。
クラウンと言えばコミカルなメイクをするピエロが有名ですが、ドラリオンのクラウンはそういったメイクではないシックな?クラウンですね。
ドラリオンの出演者インタビューにも、このクラウンを演じているゲリー・リジットシュニッグさんが出ていますが、彼は元々スイスのサーカス団の出演者で、縁がありその後にシルク・ドゥ・ソレイユへ入団したそうです。
ドラリオンのクラウンたちの話を聞いてみると、単なるつなぎ役ではなく、プロに徹した厳しさと素晴らしさを感じます。短い時間の中で観客にアピールすることはとても難しいでしょうから、相当な稽古が必要なはずです。
ドラリオンでは、どうしても派手な演出をする出演者に目が行きがちですが、演目の間のクラウンたちによってショーがより引き立っていることを忘れてはいけませんね。